テレビの時代劇にたまに津軽三味線がでてきたりします。

時代劇の設定は、
江戸時代が多いですが、

実は津軽三味線は江戸時代には影も形もありませんでした
(もともと時代劇はお話だから、
時代考証なんてのはそう正確なものではないですが)


「津軽三味線」と言う言葉が
出来てから50年、

音楽自体も出来てから100年あまりしかたっていないのです。


(具体的に言えば、津軽三味線の始祖と言われる仁太坊という人が
明治10年代、1880年ころに作った音楽が元になっている。)

実は津軽三味線はJAZZと
歴史はそう変わらないのです

(JAZZは20世紀はじめにできたそうです。)


津軽三味線はもともと、津軽民謡の伴奏楽器として発達し、
前奏部分が独立して発達して独奏楽器となりました。
じょんがら節などの民謡音階(ラドレミソラ)と4拍子の
リズムだけ決まっていて、
後は即興で津軽三味線奏者の腕の見せ所でした。

したがって、
津軽じょんがら節の三味線といっても人によって全く違う曲になるのです。


厳密に言えば津軽三味線は
伝統芸能ではなく民俗芸能です。


こちらはビクター効果音ライブラリ 9
の裏面です。

民俗芸能



今でこそ、津軽三味線は「邦楽」に入っていますが、
つい最近まで
津軽三味線は「邦楽」に
入っていませんでした。 

これは「邦楽」とは、
狭い意味で「江戸期に生まれた三味線や箏で演奏される音楽芸能」
という意味だからで、
民謡や雅楽や声明は含まれなかったのです。



津軽三味線でも、昔は弦は絹糸を使っていたわけで、

今絹糸をライブで使っている奏者はあまり聞きません。



津軽三味線のルーツと言われる門付け
(門の前に立って三味線を弾いてお金をもらう)では、

持ち歩くのに不便な重い材質
(今棹(ネック、指板)の木材はほとんど輸入、紅木(こうき)がプロ奏者では主流。堅いのですり減らない))

や太棹は使わなかったようです。


また、きれいな音が出るように、今では三味線の皮は強く張りますが、
これも最近のことで、
湿度変化の大きい外で弾いていた三味線の皮はゆるく張られていて
(強く張ると湿度変化で破れ易くなります。また昔は
強く張る技術もありませんでした)

こう考えれば今の津軽三味線のスタイル
(紅木、カン張り(強く張ること)
べっこうバチ、ナイロン弦)
はかなり新しいものと言っていいでしょう。
(3、40年)